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◆2周年を迎える、九条の会・室蘭工大◆
2006年4月、国会を中心に改憲論が声高に叫ばれるなか、「真理の探究を志す大学に集うものとして、平和が脅かされることに、沈黙してはいられない」(「呼びかけ文」より)との思いから、私たちの会は設立されました。当初、「室蘭工業大学九条の会」という名称でしたが、それを変更し、現在では「九条の会・室蘭工大」として活動しています。
1年目は、教育基本法「改正」や憲法改正手続法など、運動のターゲットが明確であったこと、加えて「元気な」学生事務局員が会を引っ張っていたことから、「沖縄平和ツアー」や地元新聞への意見広告運動など、積極的に実に多彩な活動を行いました。2年目に入り、とりわけ安倍政権の退陣に伴う明文改憲論のトーンダウンによって、私たちの運動も「一息入れよう」というムードが出ているのは確かです。しかし、このような時期ゆえに、学習を中心に、会としても、一人ひとりとしても力をつけ、運動を鍛えなおさなければならない、と思われます。
以下、私たちの会の組織や運営のありよう、これまでの主な活動を報告したうえで、今後の課題について述べていきます。
◆組織と運営◆
賛同者は、教職員、学生・院生、生協職員、近隣市民からなり、現在約150名です。しかしこのところ、賛同者を募る活動ができていないのが事実です。
会の運営は、年に1回総会を開き、そこで賛同者から会の活動に対する要望や意見を出していただき、活動方針を決定します。その活動方針に沿って、教員3名、職員3名、学生・院生6名の事務局が中心となって会を運営しています。事務局会議は、ほぼ月に1回開催され、情勢分析と活動の具体的なあり方を議論します。ホームページは充実しているのですが、「会報」のようなものは発行していないため、情報が全ての賛同者に行きわたっていない、という問題を抱えています。また、運営資金は、賛同者や支援者からのカンパに依存しているため、決して潤沢とはいえず、会の活動が経済的に限界付けられる場合もあります。もっとも、意見広告運動など活動の中身によっては、資金を集めてこれるだけの力量を有していると、思っています。
◆ これまでの活動◆
・ 2006年1月 九条の会結成に向けての呼びかけ開始
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2006年4月 「室蘭工業大学九条の会」(後の「九条の会・室蘭工大」設立総会
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2006年6月 「九条の会全国交流会」に、事務局員3名が参加
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2006年7月 胆振地区九条の会経験交流会を主催、「九条の会全国交流会」について報告
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2006年9月 憲法ゼミナール、「沖縄を考える」
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2006年9月 「沖縄平和ツアー」を実施、25人参加
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2006年11月 日本国憲法公布60周年の日に、北海道新聞に意見広告を掲載
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2006年11月 学習会「教育基本法『改正』を考える」
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2006年12月 太平洋戦争開戦の日に、室蘭民報に意見広告を掲載
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2007年2月 憲法ゼミナール、「沖縄から考える、平和と憲法」
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2007年2月 憲法ゼミナール、「憲法改正手続法を考える」
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2007年4月 「国民投票法案に関する緊急学習会」(「鉄鋼九条の会」と共催)
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2007年5月 「憲法を守る室蘭地域ネット」主催の「池田香代子さん講演会」に学生事務局員が司会を務めたり、103秒メッセージを発表
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2007年5月 室蘭地域の「九条の会」とともに、映画「日本の青空」を上映
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2007年6月 「九条の会・室蘭工大2007年度総会」を開催、佐藤博文さん(弁護士)の記念講演
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2007年7月 「平和のための戦争写真展」にポスターを出展
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2007年9月 沖縄についての学習会
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2007年9月 「沖縄平和ツアー」を実施、15名参加
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2007年11月 憲法ゼミナール、「2007年・沖縄平和ツアー報告」、「改憲動向の現段階と国民の平和意識」
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2007年11月 「九条の会全国交流会」に、事務局員3名が参加
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2007年12月 平和の集い「語りつごう戦争体験!世代を超えて交流を!」を開催
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2008年1月 憲法ゼミナール「九条の会全国交流会に参加して」「九条をめぐる、よもやま話」
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「九条の会・室蘭工大」の特徴◆
私たちの会の特徴は、「大学」の九条の会として、地域と繋がっていることです。室蘭地域では、「憲法を守る室蘭地域ネット」をはじめ、「鉄鋼九条の会」や登別・伊達の「九条の会」など、市民主体の護憲運動組織が活発に活動しています。私たちの会は、それらと連携をとりながら持ち味を発揮しようとしています。たとえば、元鉄鋼労働者の「筋金入り」の運動に励まされながら、学生の斬新なアイディアを融合させて、意見広告運動や戦争を考える集会をつくってきました。
ただ、学内のとりわけ学生間において、十分広がっていないのが現状です。
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今後の課題◆
今後の改憲動向は、「自衛隊海外派遣恒久法」の制定を軸に、解釈改憲という形で進むでしょう。この手法は、国民の危機意識に火をつけにくいだけに運動としては、非常に「厄介」です。理論的には、「9条で平和が守れるのか」という議論を克服し、「9条をどう生かして平和をつくるか」という議論に移していく必要があるでしょう。
この点を確認しつつ、明文改憲のトーンがダウンしている今だからこそ、しっかり学習し、「腰の据わった」憲法意識を広げていくことが大切です。そこで私たちは、憲法学習や憲法議論の教材になればと思い、現在ブックレットの作成を手がけています。また、大きな集会も大切ですが、しっかり学習・議論のできる「ゼミナール」を充実させたい、と考えています。そしてまずは、大学内でより組織的基盤を固めていきたいものです。