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東京農工大学九条の会準備会
東京農工大学九条の会準備会事務局
東京農工大学九条の会準備会は2006年には一応ありましたが、特定の活動は2007年夏まで停滞していました。2007年夏になって、ピースナイト9に合わせて、企画を行おうということになり、まずは華氏911の上映会を行いました。まずは戦争とは何であるかと言うことを知ろうと言う試みでした。朝ビラを撒いたりしましたが、結局第一回目の企画は参加者は事務局を除いて僅か2名と言うものでした。
しかし、賛同人の数も急速に増え、特に先生方からの賛同が多かったのですが、賛同人はおよそ40人を超えました。たて看板を作り宣伝し、ピースナイト9当日にはバスツアーを企画し、地域の九条の会の人5人を含めて18人が参加しました。
ピースナイト9が終わった後も引き続き活動を続け、毎週月曜日と金曜日の昼休みに2回学集会兼賛同人会議を開いています。また、12月にはピースナイト9の報告会として農工大学の「日本国憲法」の先生に、講演をお願いしました。参加率はいずれも低いものですが、少しずつ落ち着いてきました。始めは大学側とビラやたて看板についてもめることがありましたが、決着しました。
事務局が3人しかおらず、しかも研究や、実験、レポートに追われ三人とも丁度忙しい時期であったため、会が滞ることがしばしばです。しかも来期からは4年生が卒業し、二人になります。しかし、同時に新入生に期待して、新歓と来期の企画について今話し合っているところです。今はまだ九条の会準備会ですが、賛同人が100人越えた時点で正式に九条の会とするつもりです。なかなか周りからの理解を得られず、怪しむ人や警戒する人も多いです。特に学生の間ではまだ九条問題を知らない人、漠然と知っていてもその問題の本質を理解している人と言うのは少ないです。また、こういった政治の話を無条件に敬遠する人が多いです。実際にこの九条問題の影響を受けるのは、今ほとんどが学生である若者たちです。しかし、そのことを意識している人は少ないことを、感じさせられます。また、同時にちゃんと話せば理解してもらえると言うことも分かりました。しかし、一番難しいことはこのきっかけを作ることです。そこで何より九条の会の意義は九条問題を考える場を作り、憲法の問題をもう一度じっくりと考える場にしたいと思います。それを忙しい大学生活の中で行える場を目指しています。まだ、事務局は二人で、参加率も低いですがとにかく“細く長く”をモットーに会を続けています。来期からは今までの反省を活かして活動し、とにかく細く長く続けていきます。
以下が東京農工大学九条の会準備会のアピール文です。みんなで意見を出し合い、練るに練って作られました。今では呼びかけようのビラ、たて看板などに印刷されています。そして、その後についているのは、ピースナイト9の報告会に使用した報告集です。参考にどうぞ。
農工大九条の会アピール文
わたしたちは戦争ができる国づくりへの憲法の改定に反対する、農工大の学生、教員、職員からなる農工大九条の会です。
日本国憲法とは国権の最高法規であり、日本がどのような国であるか、何をめざす国であるかを規定するものです。たとえば教育の権利。職業選択の自由。生存権。そして、戦争と武力の放棄。憲法に書かれていることはすべて、政府が国民に課している義務ではなく、国民が政府に課す義務です。つまり、国民の意思が最高法規なのです。憲法は想像以上にわたしたちの日々の生活に密接に関わっています。
近年世界でも、「戦争はしない・軍隊は持たない」という九条の精神が評価されてきています。憲法九条を掲げ、軍備を放棄しているからこそ、小型武器軍縮の国際会議で議長国になる等、日本は国際社会の中で名誉ある地位をえました。これにたいして、軍隊を持っている国は、自衛の名のもとに徴兵制をはじめさまざまな国民の権利が制限されています。九条だけではなく、他のすべての条項とともに、日本国憲法は「平和憲法」としての価値を持っています。
しかし、この日本国憲法を改定しようという動きが政府・与党を中心に顕著になってきました。憲法改定には、わたしたちの生活を根底から変える可能性があります。多くの人が意識しない中、変えられようとしている状況は危険なことでしょう。
なかでも政府与党が狙っているのは、憲法第九条の改定です。この九条が変わることにより、海外で武力行使を阻止する歯止めがなくなります。罪のない人を殺す戦争・日常をおびやかす戦争・地球最大の環境破壊である戦争を、できる国に日本はなりかねません。わたしたち農工大九条の会は、戦争が出来る国への憲法改定に反対します。
農工大のみなさんに考えてもらいたいことがあります。過去二度の世界大戦を経験し、荒廃した日本で発布された日本国憲法。一体どのような想い、経緯で、この憲法が作られたのか。この憲法があることでわたしたち国民はどのような恩恵を受けているのか。改定したら一体どのようなことがわたしたちの生活に降りかかるのか。世界の人びとは平和憲法を持つ日本をどんな国だと見ているのか。農工大学九条の会はより多くの人が、憲法について学び、もう一度憲法の価値をじっくりと議論すべきであると考え、忙しい学生生活の中でもそれらを行える場になれることを目指します。全国の九条の会と連帯して、九条の輪を広げていきます。
Peace Night 9報告
農工大九条の会準備会 事務局
<概要>
ピースナイト9が11月16日金曜日に早稲田大学西キャンパスにて開かれました。ピースナイト9は、東京中の学生が一同に集い、九条を学ぼう、思いを発言し、九条を守ろうという一致点で、社会にアピールしようという企画で、各大学の学生九条の会や個人でつくるPeace
Night 9実行委員会と、早大九条の会”Article
9”の主催で行われました。開催にあたっては大学の先生方を始め、多くの一般市民の方々からの支援も受けました。
当日は都内の大学九条の会を含め、九条問題に興味のある首都圏や近県の学生、教職員や市民がなんと1100人も集まりました。当初の目標である3000人には及びませんでしたが、1100人が集まったことは大きな意義を持つイベントでした。
東京農工大学からも、バスツアーを企画し、この大イベントに参加しました。地域の九条の会から参加した5人を含め計18人になりました。また、ピースナイト9の前後で農工大九条の会アピールの賛同者を集め、今では45人の賛同人が集まりました。各人それぞれこのピースナイト9に参加し、感じ取ったものというのは様々です。今回その感想を載せました。
<プログラム>
18:00 開場
18:30 オープニング
18:35 「九条とわたし」高校生、学生、院生、東京高校生平和のつどい実行委員会
守谷結(中央大学法学部)、日隈広志(明治大学大学院博士課程)
18:55 賛同人紹介
東京大学教養学部教授 小森陽一先生
早稲田大学法学部教授 水島朝穂先生
19:15 Peace
Music
〜ジャズシンガー形岡七恵「晴れ着の娘」、「Imagine」
19:30 加藤周一さん講演
「老人と学生−九条をどうするか」
エンディング−私たちは、憲法九条を選びたい
<ピースナイト9の意義について>
今回のピースナイト9は、学生主催の九条に関するイベントとしては過去最大規模のものでした。
現在全国に6000以上ある九条の会ですが、高齢者主体の会が多数です。憲法改定や九条に関する講演会に行っても、参加者はかなり多いのにその大半が高齢者で、若者はあまり集まっていないことが普通です。しかし、憲法が改定されたときに一番影響を受けるのは、紛れもなくこれからの日本を生きる若者です。そんな中で、今回の集会は学生主催で若者がたくさん集まりました(写真参照)。これだけたくさんの若者が、憲法は自分たちの問題なんだと感じることができたことは、日本の将来にとって大事なことです。
このピースナイト9は、これからの若者や学生の九条の会にとって大きな一歩です。若者が九条をめぐる表舞台に現れ始めています。
<参加者感想>
(農工大1年生)
ピースナイト9に行ったことで、同世代でこんなにも多くの人が9条について、平和について真剣に考えているということが分かった。会場のみんなが色々と考えをめぐらせることが出来た貴重な機会だったと思う。私は、Peace Music(音楽で平和を伝えるライブ)を聴いて、世界が平和であることを切実に想うことができた。また、早稲田の大学教授の「9条を守ろうと主張するよりも、『憲法を変えてもよい』と考えている人と憲法の役割について議論してほしい。」という話を聞いて、私も“守りたい・変えたい”以前に、憲法についての幅広い意見に耳を傾けていきたいと思った。
(農工大4年生)
そもそも、私がこのイベントに参加した動機は現状の
9条をめぐる人々の動きのひとつの側面をただ見てみたい、というものでした。その意味では、非常に興味深く、
意味のあるイベントであったと思います。9条の安易な改正には私も抵抗を持っている一人ではありますが、自ら進んで9条を守ろうと声を上げるほどの、動機を、自分の中に自覚できないのが現状です。それは、生まれてこの方、世界のうち私に触れる部分はたいてい平和でしたし、世界のほかの地域や、世界の過去のことにまで、
積極的に想像力を働かせる作業を怠っていたからかもしれません。
しかし、おそらく、今多くの、戦争を経験していない世代の人々も同様の状況なのではないでしょうか。ですから、今九条について話をするとき、「守ろう」という言葉は、はじめの一歩としては適当でないと感じます。その思いは、イベントに参加した今も変わりません。ただ、今回このイベントを通して、強く実感したことは、それでもなお、九条というものを軸にして話しをする意味が、今あるということです。今回のイベントでは、現代における、9条の持つ、シンボルとしての価値を非常に強く実感しました。おそらく、まず話し合われるべきことは、9条を守るか、否か、ではなく、今ってどうなっているんだ、これまで何があったんだ、こんな感情が、こんな体験があったんだ、ということの確認なのだと思います。その上で、おのおのが、その状況の中でどう振舞うのか、その状況を踏まえて、今後どんな日本・世界を目指すのかを考えるのだと思います。その段階で初めて、では9条はどうして行くか、が明確に議論できるはずです。多くの護憲派の人々が思っている以上に、9条や平和の価値が暗黙の了解では通らない時代であると思います。ただ、順番としてはそうなのですが、それでも今9条という存在を中心に、これほどの人が集まり、年齢を超えて話す場が持たれるということは、きっかけとして、非常に意味のあることだと思います。今、こうして9条というシンボルを我々が持ち、振り返り、考えるきっかけを与えられているという、そのことそのものの中に、まだ、救いや可能性があるように感じました。
(農工大2年生)
1100人集まりました。ものすごい数です。これほどの学生が同じ思いで憲法九条を守ろうとしているんだなと今まで学内で活動してあまり反応が少なくて戸惑いがあったけど元気になれた。実際講演の内容は理解するのには難しい内容ではあったが、この機を生かしさらに学内の活動を活発化させ賛同人100人を目指していけたらいいと思います。
(環境資源科学科2年)
今回ピースナイト9には実験の関係上遅れての参加になってしまいましたが、会場に行ってその規模というものを実感しました。こんなにも多くの私とほぼ同世代の人たちが自分と同じように九条に関心がある人がいると確認できただけで大きな励みになりました。農工大ではまだまだ少数派であり、変な目で見られ勝ちですが、そんなことを悩む必要もないほどの多くの仲間がいるという事実が、今会をやっていく上で大きなエネルギーとなっています。11月16日という日が常に私を激励してくれています。
謝辞
今回先生方の厚いご支援により、農工大九条の会準備会のバスツアーを企画し、実行する事が出来ました。農工大九条の会準備会一同大変心より感謝しております。まだ賛同人の数は少なく、学生の方も多忙により、会の活動が滞りがちですが、会の存在する意義とは今回のピースナイト9で一層深まりました。とにかくどうあっても細く長く続けていきたいと思います。今は来期の活動において、新入生の勧誘と企画を話し合っているところです。先生からも会に対して、何かお言葉がありましたら丸岡(50006153058@st.tuat.ac.jp)まで送ってください。また、ただいま会は先生からの多大なご支援にもかかわらず、バスツアーの企画により赤字となっております。心苦しいですが、どうか心温かいカンパをお願いします。これからも先生のお力添えをお借りすると思いますが、どうかよろしくお願いします。