九条の会・室蘭工大

 

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設立の経緯とその後

 20064月、国会を中心に改憲論が声高に叫ばれるなか、「真理の探究を志す大学に集うものとして、平和が脅かされることに沈黙してはいられない」(呼びかけ文)との思いから、私たちの「九条の会・室蘭工大」は設立されました。

1年目は、教育基本法改定や憲法改正手続法など、運動のターゲットが明確で、加えて元気な学生事務局が会を引っ張ってくれたことから、地元新聞への意見広告運動、「九条の会・全国交流集会」への代表参加、「沖縄平和ツアー」、学習会・講演会など、非常に多彩な活動を活発に行いました。

2年目以降、安倍政権の退陣に伴って明文改憲はトーンダウンした感がありますが、むしろ「解釈改憲」による九条の空洞化を阻止するために、学習や議論がしっかりできる「憲法ゼミナール」を20人程度と小規模ながらも地道にやっています。また、「室蘭・鉄鋼の会」、「のぼりべつ九条の会」有志と一緒になって、約50頁のブックレット『室蘭発 憲法九条いいんでないかい!』を発行しました。普及を通じての学習という効果もですが、作成にあたっての学習効果も大きかったと思っています。執筆には、本学の教員・学生のみならず、室蘭での戦争体験者や環境問題に取り組む市民らも加わり、地域色のある充実したものとなりました。

 

会の特徴

 私たちの会の特徴は、「大学」の九条の会として、地域とつながっていることです。室蘭地域では、「ゆるやかなネットワーク」を掲げる「憲法を守る室蘭地域ネット」をはじめ、「室蘭・鉄鋼九条の会」や登別・伊達の「九条の会」など、市民主体の護憲運動組織が活発に活動しています。私たちの会は、それらと連携をとりながら持ち味を発揮しようとしています。とりわけ、戦争体験者と学生による「世代を超えた、戦争を考える集会」などは、今後より積極的に行っていきたいものです。

 

2008年の活動

 ・第7回 憲法ゼミナール(112日、中小企業センター)

@「九条の会全国交流集会に参加して」山本泰之(本学院生)、奥野恒久(本学教員)

  A「九条をめぐるよもやま話」鈴木好夫(本学教員)

 ・第8回 憲法ゼミナール(322日、中小企業センター)

  @「立憲主義という考え方に出会って」猪野毛能拡(本学学生)

  A「私の戦争の記憶」広田義治さん(元日本製鋼労働者)

  B「韓国への遺骨返還の報告」北原英気さん(平和のための戦争写真展実行委員会事務局長)

 ・第9回 憲法ゼミナール(524日、中小企業センター)

  @「名古屋高裁判決が示したこと、その反応」小野寺碧(本学学生)

  A「名古屋高裁判決の意義」奥野恒久(本学教員)

 ・憲法ブックレット『室蘭発 憲法九条いいんでないかい!』発行

     編集委員:鈴木好夫、門澤健也、奥野恒久(以上、本学教員)、木下孝一、佐々木順(以上、室蘭・鉄鋼九条の会)、松本徹(のぼりべつ九条の会)

  ・九条の会・室蘭工大2周年記念「憲法を考える集い」(621日、中小企業センター)

   記念講演「大学に九条の会があることの意義」藤田正一さん(北海道大学名誉教授・本副学長)

 ・第10回 憲法ゼミナール(89日、中小企業センター)

  @「日本国憲法における男女平等」立石直子さん(岐阜大学教員)

  A「九条ブックレット作成の背景と意義」鈴木好夫(本学教員)

 ・胆振・日高管内「九条の会」学習・交流会(1026日、苫小牧市・住吉コミュニティセンター)

  @「憲法九条をめぐる最新の情勢」とのテーマで、奥野恒久(本学教員)講演

  A活動報告・交流では、山田寛一(本学学生)報告

 ・九条の会全国交流集会に、鈴木好夫(本学教員)参加(1124日)

 ・第11回 憲法ゼミナール(1220日、中島会館)「室蘭・鉄鋼九条の会」との共催

  @「憲法九条をめぐる現在の情勢」奥野恒久(本学教員)

  A「第3回全国交流集会に参加して」木下孝一さん(室蘭・鉄鋼九条の会)

 

会の運営と今後の課題

現在、会の事務局構成は、教員3名、職員2名、学生4名です。約2ヶ月に一度の事務局会議にて方針を決め、詳細はメールでのやり取りにて行っています。ブックレットの発行、年5回のゼミナール、地域との密接な連携など、それなりに活動はしているのですが、「勢い」がダウンしていることは否めません。賛同者も2007年以来、ほとんど増えていませんし、学生事務局員も卒業により減る一方です。

 明文改憲への動きがダウンしているのに合わせるかのごとく、運動の側も「抑え目に」というのはある意味自然かもしれません。もっとも、私たちは現状を楽観視しているのではなく、むしろ敵は「巧妙に」なってきていると見ています。一つは、解釈改憲、自衛隊派遣恒久法、自衛隊のソマリア沖派遣の動きであり、もう一つは格差や「貧困」が広がるなかでの国民意識の操作です。これらに対しては、日常的に改憲動向を観察・議論し、「大きな声をあげるべきときには上げれるだけの」関係を常につくっておかなければなりません。

このような観点からすると、本学の中に「九条の会」が存在し、継続的に活動していること、そして本会が学内・地域においてそれなりに理解されていることだけでも大きいことだと思います。「粘り強い」運動をやっていく決意です。