−2005年3月13日,196人の呼びかけによって−
「九条科学者の会」が発足しました
集会報告 −自分の学問との関係で九条問題の受け止めを−
3月13日(日)午後、東京・御茶ノ水の日大歯学部で、全国の科学者・研究者196人の呼びかけによる「九条科学者の会」の発足記念の集いが開かれました。開会時には小雪の舞うあいにくの天気でしたが、遠くは大分・仙台など、全国から119人の科学者・研究者らが出席。参加者は、講演・アピールに耳を傾け、会場から平和への熱い思いをこもごも語りあいました。
「いま日本国憲法について何が論ぜられるべきか」と題し記念講演を行った奥平康弘氏(「九条の会」呼びかけ人、憲法研究者)は、まず、九条を主眼とする改憲の「異常な流れ」があるが、これに反対して9人で作った「九条の会」の集まりにはこれまで予想を超える多数の参加者があることを紹介し、「九条の会効果」が見られると述べ、会場を沸かせました。そして、「因果関係で説明し、あらゆる事件が必然的ととらえてしまうと『仕方がない』となって現実にひれ伏すことになりかねない。そこから抜け出すために必要なのは、『罪のない子どもを殺すのは耐えられない』という『想像力』である」と、「想像力」が改憲に抗する重要な力の一つであることを指摘。改憲勢力が九条を変えるのに成功したら、その影響は核保有や徴兵制など軍事的なことだけでなく、文化のレベルにまで及びかねないとして、「九条問題を、自分の学問との関係でどう受け止めるか、一人ひとりが考えよう」と呼びかけました。
続いてしっかりとした足取りで壇上に立った96歳の伏見康治発起人(元日本学術会議会長、阪大・名大名誉教授、物理学)は、日本学術会議が1949年の発足時に出した声明と、翌年出した「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」を資料として紹介し、「このような精神を貫いていきたい」と、「千金の重みある」(司会者の米田佐代子発起人)アピールを行いました。
暉峻淑子発起人(埼玉大学名誉教授、経済学)は、イラクへの自衛隊派兵、日の丸・君が代の強制、ビラまき逮捕などおかしな、怖い状況がいっぱい起きていること、資本と技術が無目的的に自己増殖をし、大企業や高額所得者は減税されているが、その一方で人権の規制や社会保障の改悪が進められていることなどを指摘し、相手を上回る勢いの運動を呼びかけました。
会場からは、「昔、『軍国乙女』として教育された。あのような時代を二度と来たらせないようにしたい」(看護学者)、「研究者は時代の方向を察知し発言を」(刑事法学者)、「いのちを大切にしてきたのが高等生物で、その我々が九条を作った。これを守り抜きたい」(農業生物学者)などの発言のほか、分野毎、大学毎に九条を守る会を作りいきいきと活動している様子が報告されました。
以上の発言を受け、米田貢呼びかけ人(中央大学教授、経済学)が(1)1万名を目指し、賛同署名とカンパを(2)職場・地域で会作りを(3)九条の会のリーフレット普及を、と3つの行動提起を行い、本間慎発起人(東京農工大学名誉教授、フェリス女学院大学学長、環境科学)が閉会の挨拶を行いました。
終了後、発起人・呼びかけ人らは別室で記者会見を行いました。
講演「いま日本国憲法について何が論ぜられるべきか」(奥平氏)
発起人からのアピール(伏見氏)
発起人からのアピール(暉峻氏)